今月の主題 内科医に必要な救急治療
おもな救急疾患とその治療
胃・十二指腸潰瘍穿孔
寺田 浩明
1
,
田伏 久之
1
1大阪府立千里救命救急センター
pp.856-857
発行日 1987年5月10日
Published Date 1987/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220955
- 有料閲覧
- 文献概要
基本的な考え方
胃・十二指腸潰瘍穿孔は急性腹症における代表的な疾患であり,潰瘍のもっとも重篤な合併症の一つである.化学療法の発達や術前術後管理の進歩により死亡率は低下しているが,高齢者や全身衰弱の著しい者に発症した場合,その予後は不良である.診断は潰瘍の既往に加え突発する激しい腹痛,腹膜刺激症状の存在,腹腔内遊離ガス像の証明によりなされる.穿孔に伴い腹膜炎を発症し,消化管粘膜,腹膜,腹腔内などに多量の血漿成分が貯留するため,脱水や低蛋白血症が進行する.さらに当初は低い腹腔内細菌証明率も経過とともに増加し,ショック,DIC,敗血症などの重篤な合併症を併発する.治療の原則は迅速な外科的処置であるが,これに並行して脱水の是正,各種合併症の予防・治療などの適切な全身管理が必要である.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.