今月の主題 呼吸不全とその管理
呼吸不全の病態生理
急性呼吸不全
窪田 達也
1
1自治医科大学・集中治療部
pp.570-572
発行日 1987年4月10日
Published Date 1987/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220876
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呼吸不全(Respiratory failure)とは
呼吸不全の概念は笹本,横山ら1)によって「原因の如何を問わず動脈血液ガス,とくにO2とCO2が異常な値を示し,そのために生体が正常な機能を営み得なくなった状態」と定義され,現在,厚生省特定疾患「呼吸不全」調査研究班(以後,呼吸不全研究班と略す)も同様の定義を継承している2).
そして呼吸不全の診断基準は,従来提唱者によりさまざまであり,必ずしも一致していないが,最も一般的によく知られているものとしては,Campbellの示したPao2<60torr and/or Paco2>50torrの基準値がある3).一方,上記呼吸不全研究班では検討の結果,その診断基準を次のようにまとめた.①室内気吸入時の動脈血O2分圧が60torr以下となる呼吸障害,またはそれに相当する呼吸障害を呈する異常状態を呼吸不全と診断する,②呼吸不全を動脈血CO2分圧が45torrを超えて異常な高値を呈するものと,然らざるものとに分類する.③慢性呼吸不全とは,呼吸不全の状態が少なくとも1カ月持続するものとした.この診断基準の最大の特色は,呼吸不全を動脈血Po2のみで規定した点であり,動脈血Pco2は呼吸不全の型の分類に用いていることである.
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