呼と循ゼミナール
急性膵炎と呼吸不全
斎藤 英昭
1
1東京大学第1外科
pp.144
発行日 1978年2月15日
Published Date 1978/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203158
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急性膵炎症例にしばしば胸水や無気肺が合併することは従来からよく知られているが,最近ではその発症早期の低酸素血症や重症膵炎の際の呼吸不全が注目されており1,2),本稿では,これらについての概略を述べてみたい。
自験急性膵炎症例でその経過中にroom-air吸入時のPaO2が70mmHg未満に低下した症例は重症膵炎10例中8例で,また中等症例でも14例中7例と高率であるが,諸家の報告をみても急性膵炎例の60〜80%に同程度のPaO2低下がみられており,さらにPaO260mmHg以下の症例は45%にも達するといわれる。また胸部X線写真の異常は20〜40%に出現し,その主たる所見は無気肺,胸水の他,肺水腫などが挙げられる。そして,当然のことながらこれら異常症例の80%以上に重篤なPaO2低下がみられるが,一方X線上異常のない症例でも約半数が同様な低酸素血症を呈するという。
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