今月の主題 アルコール障害
アルコールの代謝をめぐって
アセトアルデヒドの代謝と毒性
松崎 松平
1
1東海大学東京病院・内科
pp.392-393
発行日 1986年3月10日
Published Date 1986/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220246
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アルコール(エタノール)は,飲酒時その大部分が吸収され,肝臓において酸化処理される.飲酒による臓器傷害には多くのものが知られているが,その際の血中濃度程度のエタノール自体による直接的影響は,神経細胞に対する薬理作用は別として,他にはないものとされている.一方,エタノールの第一次代謝産物であるアセトアルデヒドは,きわめて刺激性と化学反応性の強い物質であり,その高濃度な溶液は,ホルマリンと同様,臭いをかぐだけでも粘膜刺激を受け,頭痛や嘔気も誘発する.もちろん,飲酒エタノール量に相当するアセトアルデヒドが一度に身体に入れば致死的である.吸収されたエタノールは,全てアセトアルデヒドに酸化されるため,飲酒による臓器傷害の原因として,アセトアルデヒド毒性に関心が寄せられてきたが,その定量測定の問題をはじめ研究上の困難のため,解決が遅れている.近年研究方法の進歩により,次第に多くの興味ある研究が発表されつつある.
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