講座 図解病態のしくみ 内分泌代謝疾患・2
クッシング病・クッシング症候群
金子 健蔵
1
,
斉藤 寿一
1
,
葛谷 健
1
1自治医科大学・内分泌代謝科
pp.349-357
発行日 1986年2月10日
Published Date 1986/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220237
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クッシング症候群は,副腎皮質よりの糖質コルチコイド,とくにコルチゾールの過剰分泌に起因する症候群である.表1にクッシング症候群の原因を示す.わが国における医原性を除く発症頻度は,下垂体前葉の腺腫または過形成による両側副腎皮質過形成(クッシング病)が61%,副腎腺腫および癌(狭義のクッシング症候群)が,各々30%および1.4%,異所性ACTH症候群が0.7%,原因不明が7.3%である1).性差は1:3.5で女性に多い.
クッシング症候群の原因は,当初米国の外科医Cushingが下垂体好塩基性腺腫と考えたが,副腎腫瘍でも同様の臨床所見を呈することが明らかにされた.次いでACTHのラジオイムノアッセイの確立を契機に異所性ACTH症候群の存在が実証された.さらに,近年Valeら2)によりCRF(corticotropin-releasing factor)が単離同定され,CRF産生腫瘍によるクッシング症候群が報告されるに至った.
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