Japanese
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特集 補体と腎疾患:温故知新
補体系の基本的な理解のために
補体欠損症と感染症
Complement deficiency and infections
植木 将弘
1
,
小林 一郎
2
UEKI Masahiro
1
,
KOBAYASHI Ichiro
2
1北海道大学大学院医学研究院小児科学教室
2KKR札幌医療センター小児・アレルギーリウマチセンター
キーワード:
補体欠損症
,
細菌感染症
,
莢膜を有する細菌
,
自己免疫
Keyword:
補体欠損症
,
細菌感染症
,
莢膜を有する細菌
,
自己免疫
pp.45-49
発行日 2024年7月25日
Published Date 2024/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001391
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はじめに
補体系は自然免疫において重要な役割を担う蛋白の1つであり,古典経路・第二経路・レクチン経路の3つの活性化経路が存在する。それぞれ活性化の誘因も異なり,古典経路は抗原抗体複合体,第二経路は微生物表面のリポ多糖,レクチン経路は微生物表面の糖鎖によって活性化される。活性化した結果,いずれもC3転換酵素の形成とC3の活性化が起こり,最終的にはC5~C9で構成される終末経路の活性化につながる1)。これらのシグナルにかかわる蛋白の異常により,各経路の活性化異常を呈するのが補体異常症であり,多くは先天性異常である。補体異常症では莢膜を有する細菌(ナイセリア属および肺炎球菌,インフルエンザ菌)に対する易感染性と全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)などの自己免疫疾患を呈する患者が多い(表)2~4)。以下,それぞれの経路の異常症についてまとめる。
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