今月の主題 心不全診療の動向
他の障害を有する心不全
腎不全
長村 好章
1
1東京都立府中病院・内科循環器科
pp.61-63
発行日 1985年1月10日
Published Date 1985/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219577
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腎不全と心不全とでは,体内に水,電解質が貯留する点では共通点をもっている.また心不全では心拍出量の減少により腎灌流圧は低下し,GFRも低下する.中等度までの心不全では,糸球体輸出動脈の収縮によりGFRが増加する方向に働き,腎機能障害も可逆的である.しかし長期に及んだ重症心不全では糸球体輸出,輸入動脈ともに収縮し,萎縮腎として血清クレアチニン,尿素窒素が上昇し不可逆的となる例もみられる.このように心不全では心拍出量低下に伴う見かけ上の腎機能低下と,器質的腎障害の鑑別が臨床上問題となってくる.そこで本稿では腎不全と心不全の循環動態の相違を明らかにし,さらに腎不全を伴った心不全の治療について,最近の経験をふまえて述べてみたい.
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