今月の主題 心不全診療の動向
心不全の病態生理
腎機能,内分泌系
長村 好章
1
1東京都立府中病院・内科循環器科
pp.14-16
発行日 1985年1月10日
Published Date 1985/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219564
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心不全の病態生理における腎機能と内分泌系の果たす役割については数多くの研究がある.すなわち心不全に伴う浮腫の発生機序として,静脈圧の上昇,腎血流量の減少,腎尿細管での水,Na再吸収増加,体内貯留という現象がみられ,腎が心不全時の浮腫発生の過程に重要な役割を演じていることは明らかにされている.さらに腎を含め,浮腫を発生させる因子として,レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系,ADHなどのホルモンや,交感神経緊張などが複雑に関与していると考えられている.しかし糸球体濾過値(GFR)の低下なしに著明なNa貯留が起こりうること,副腎を摘出した実験心不全犬においてもNa貯留が起こることが知られており,GFRの低下や,アルドステロンの上昇が,腎における水,Naの排泄障害に本質的あるいは不可欠な機序とはいえず,未だ不明な点も多い.
本稿では心不全にみられる体液貯留の機序を中心に,腎機能,内分泌系がどのように関与しているかを述べてみたい.
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