今月の主題 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
鼎談
慢性閉塞性肺疾患をめぐって
本間 日臣
1
,
山中 晃
2
,
谷本 普一
3
Hiomi Homma
1
,
Akira Yamanaka
2
,
Hiroichi Tanimoto
3
1放送大学
2聖路加国際病院・病理学科
3虎の門病院・呼吸器科
pp.2673-2685
発行日 1984年12月10日
Published Date 1984/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219541
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谷本(司会)肺の閉塞性障害という言葉が使われましたのは,1959年のCiba Guest Sympo-siumからですので,もう二十何年か経っております.その概念にはいろいろ変遷がありますけれども,現在でもこの言葉が広く使われています.慢性閉塞性肺疾患は,1秒率の低下で示される機能的な気道の閉塞を共通の病態としていながら,実際の病変は気道から呼吸細気管支,さらに肺実質まで形態学的に異なった種々の病変を包含しておりまして,非常にあいまいな概念ではないかと思われます.
たとえば閉塞性肺疾患の代表的な疾患である肺気腫症では,呼吸細気管支と肺実質が破壊し拡張して,気道にそれほどの変化がないにもかかわらず太い気管支の虚脱を表す1秒率が低下するのが特徴となっています.また慢性気管支炎は気道の病変で,肺実質に変化はありません.
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