今月の主題 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
慢性閉塞性肺疾患の概念の変遷
本間 日臣
1
Hiomi Homma
1
1放送大学
pp.2596-2597
発行日 1984年12月10日
Published Date 1984/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219514
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慢性閉塞性肺疾患という用語は,1960年代のはじめ頃,慢性気管支炎,慢性肺気腫,気管支喘息の3疾患を総括する呼称して用いられはじめた.しかし,この3疾患のみならず,びまん性汎細気管支炎,過誤腫性肺脈管筋腫症,閉塞性気管支・細気管支炎,中心気道の閉塞をもたらす諸疾患(異物・外傷・腫瘍による気管狭窄,骨形成気管症,反復性多発軟骨炎など)のような閉塞性換気障害を特徴とする疾患は多数あり,かつそれぞれの形態学的ならびに臨床的特徴が明らかにされ,したがって個別的に診断することが可能となった現在では,COPDという用語を必要とする理由がなくなってきたのは当然のなりゆきである.現実にCOPDを使用している内外の報告は未だ散見されるが,COPDの中に,気管支喘息を含めて論じているものはすでにない.本号の各論で,各疾患の定義,形態学,臨床像,診断基準が解説されるので,それらには触れず,この用語の成立と現在までの経過の大筋をふり返り,現在的意義を考える参考に供したい.
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