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講座
びまん性汎細気管支炎の概念—その病理像と臨床像
Description of diffuse panbronchiolitis--pathological and clinical features
本間 日臣
1
,
田村 昌士
1
,
鷲崎 誠
1
,
佐川 圭助
1
,
稲富 恵子
1
,
中田 紘一郎
1
,
康 忠一
1
,
中山 修二
1
,
荒木 高明
1
,
千治松 洋一
1
,
金光 俊尚
1
,
山中 晃
2
,
斉木 茂樹
2
,
吉良 枝郎
3
,
谷本 普一
4
,
岡崎 弘
4
,
蒲田 英明
4
Hiomi Honma
1
,
Akira Yamanaka
2
,
Sigeki Saiki
2
,
Shiro Kira
3
,
Shinichi Tanimoto
4
1順天堂大学呼吸器内科
2順天堂大学病理
3自治医科大学呼吸器内科
4虎の門病院呼吸器科
1Dept. of Int. Med., Juntendo Univ.
2Dept. of Pathology, Juntendo Univ.
3Dept. of Int. Med., Jichi Medical School
4Dept. of Respiratory Dis.,Toranomon Hospital
pp.1069-1075
発行日 1975年12月15日
Published Date 1975/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202842
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びまん性汎細気管支炎について解説するまえに,この一つのclinical entity (と筆者は考えている)が,どうして見出され,このような名称を与えられたかの経緯に触れなければならない。
本誌の読者ならば既に聴き慣れた用語である慢性閉塞性疾患という,閉塞性換気障害を共通の所見とする疾患群をまとめた用語が現われて15年になるが,この用語の起源をただせば,イギリスにおける慢性気管支炎の概念とアメリカにおける肺気腫の概念との政治的(学問的ではない)妥協の産物であったのだと筆者には思われる。なぜなら慢性気管支炎という気道の慢性炎症と,気腔の拡大・肺胞嚢の破壊融合拡張という肺実質の病変とを一つのわくの中で混同されてはたまったものではないからである。しかし,イギリスの慢性気管支炎とアメリカの肺気腫とを結びつけようとする試みは実際にいくつか行なわれたのである1)2)3)。そして,高率にこの両者は同じ病変を表現しているという結論を出した。1958年コロラドのAspenで行なわれた肺気腫のシンポジウムには"chronic bronchitis"syndromeいわゆる"慢性気管支炎"症候群という副題がついている4)。
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