増刊号 ERAS時代の周術期管理マニュアル
Ⅱ 併存症を持つ患者の評価とその術前・術後管理
2.呼吸器疾患
慢性閉塞性肺疾患
茂木 晃
1
,
東 陽子
1
,
桑野 博行
1
Akira MOGI
1
1群馬大学大学院病態総合外科
pp.52-55
発行日 2014年10月22日
Published Date 2014/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200080
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最近の知見と重要ポイント
□慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,「タバコなどの有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患で,呼吸機能検査で正常に復すことのない気流閉塞を示す.気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変が様々な割合で複合的に作用することにより起こり,進行性である.臨床的には徐々に生じる体動時の呼吸困難や慢性の咳,痰を特徴とする」と定義されている1).
□COPDは呼吸器疾患であるが,虚血性心疾患,糖尿病,骨格筋の萎縮,悪液質,骨粗鬆症,うつ病など,多くの全身徴候や併存疾患との関連が深い2,3)(図1).
□COPDは心疾患と並ぶ術後合併症発生・術後死亡率の独立リスク因子であり4),ERAS実践のためにはCOPDを全身性疾患と捉えた包括的な周術期管理が重要である.
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