診断基準とその使い方
肺気腫
西本 幸男
1
,
重信 卓三
1
,
行武 正刀
2
1広島大第2内科
2忠海病院
pp.844-847
発行日 1975年4月10日
Published Date 1975/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206011
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肺気腫は,もともと病理学的診断名であって,肺の形態学的な変化に基づいて定義されている.すなわち,Ciba Guest Symposium(1959)の定義によれば,「肺気腫とは,呼吸細気管支または肺胞壁の拡張あるいは破壊によって,終末気管支より末梢の気腔が異常に増加した状態である」とされている.WHO(1961)やAmerican Thoracic Society(1962)においてもほぼ同様の見解であり,肺気腫が病理形態学的な診断名である点にはかわりはない.
ところが,このように病理形態学的に用いるべき肺気腫という言葉を臨床で用いることがあまりにも一般的になっているところに問題がある.日常肺気腫という臨床診断をつける場合にも定義に示されるような形態学的特徴が臨床的所見から泥しく捕えられていなければならない.すなわち,臨床的肺気腫をいかに病理形態学的肺気腫に近づけるかが問題である.そのためにいくつかの臨床診断基準が作られているが,ここではわが国の診断基準を中心に述べてみたいと思う.
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