臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅹ.内分泌機能検査
151.HPL(human placental lactogen)
中井 利昭
1
Toshiaki Nakai
1
1獨協医科大学・臨床病理
pp.2462-2463
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219472
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HPLは,HCGと同じく胎盤から分泌される蛋白体ホルモンである.はじめはプロラクチンに似た向乳腺作用があるためhuman placental lactogen(HPL)と命名されたが,その後成長ホルモン(GH)と構造や生物学的作用が類似していることからhuman chorionic somatomammotropin(HCS)とも呼ばれるようになった.HPLは,HCGと同じく胎盤で生成されても,主として母体側に分泌される.HPLは母体の代謝に関与する(母体血中FFAやグルコースを増加させる)ことによって間接的に胎児発育促進作用を有している.最初知られたHPLの向乳腺作用は実験動物についてであって,ヒトにおいてはまだ明らかでない.このHPLは血中半減期が約15分と短かく,尿中にはほとんど排泄されないので血中HPL濃度は胎盤機能を迅速に反映するものである.HCGとHPL両者はキットも市販されていて容易に測定可能であり,胎盤機能検査法として広く用いられている.
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