臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅰ.尿検査
20.薬尿
林 康之
1
Yasuyuki Hayashi
1
1順天堂大学医学部・臨床病理学
pp.2122-2123
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219341
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検査の必要な場合
臨床的に薬尿であるかどうか,薬物は何かを検索する必要があることは少ない.大別すると,①薬物中毒を疑うとき,②薬物の代謝異常を疑うとき,③薬尿による検査の妨害を疑うときなどである.本稿でいう薬尿とは,患者が体内にとり込んだ薬剤またはその代謝産物が患者尿中に含まれるものを指し,最初から検査目的をもって与えられ混入している薬尿,たとえばPSPなどは除外する.
①の薬物中毒は与薬する医師が対象薬剤名を明らかに承知している場合もあれば,まったく予想できないときもあろう.たとえば幼小児の薬剤誤嚥とか,状況証拠のない薬物中毒を疑われる患者が送り込まれたとか,人為的な間違い投薬などである.すなわち,尿中薬剤をしらべた結果が診断,治療のうえで大切な情報であって,成績がなければ適切な処置をとれない場合である.
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