今月の主題 リンパ系疾患へのアプローチ
リンパ系の発生と解剖
リンパ球の発生と組織への移行
成内 秀雄
1
Hideo Nariuchi
1
1東京大学医科学研究所・アレルギー学
pp.1714-1718
発行日 1984年10月10日
Published Date 1984/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219237
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リンパ球はT細胞,B細胞と呼ばれる集団に大別される.両者はいずれもpluripotent stem cellsから,細胞の置かれた環境とあらかじめプログラムされた細胞内の情報によって分化すると考えられている.T細胞系の細胞は胸腺内で分化すると考えられている.すなわち胸腺はT細胞系の中枢と考えられる.一方,B細胞系の細胞は鳥類を除き一定の中枢的器官をもたない.鳥類では総排泄口近くの腸管にFabricius嚢があって,これがB細胞の分化の中枢と考える人が多い.Abramsonらの実験より,これらT,B細胞はリンパ球以外の各種の細胞に分化し得るpluripotent stem cellsから,一旦分化の方向の決まったstem cellsに分化し,これらが各々対応する環境下で各種の機能をもつリンパ球に分化すると考えられる1)(図1).
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