今月の主題 循環器薬の使い方
急性心筋梗塞
昇圧剤の使い方
三船 順一郎
1
Junichiro Mifune
1
1福井循環器病院・内科
pp.1204-1205
発行日 1984年7月10日
Published Date 1984/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219122
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心臓は全身臓器に動脈血を送り,これらを養う責任を負っている臓器である.このため,心筋梗塞に陥り傷ついた場合でも,なお働き続けなければならない状況におかれている.カテコラミンは,このようにできるだけ安静を保持すべき状態の心臓を,無理に働かせる傾向を有していることを念頭におくべきである.
カテコラミン使用による心拍数,心収縮力増強,血圧上昇は,心筋酸素消費量を増し,梗塞部位拡大を発現する恐れがあるので,常に最低有効量の使用を心掛ける必要がある.心筋梗塞に主として使用されるカテコラミンを表に示した.一般的には,重症心不全や軽いショックにドブタミン,はっきりしたショックにはドーパミンを使用し,これらで血圧維持ができない高度のショックにはノルエピネフリンを併用するとよい1〜3).イソプロテレノールは頻脈,不整脈の副作用を有しており,高度の徐脈に際し一時的に使う以外は,心筋梗塞には用いられない.スワンガンツカテーテルは,血行動態モニターによるカテコラミンの適応決定,効果判定,薬剤注入ルートとして大変有用である.肺動脈楔入圧または拡張期圧が18mmHg以上で心拍出量が2.2l/min/m2以下の場合,カテコラミンを必要とすることが少なくない.
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