今月の主題 循環器薬の使い方
急性心筋梗塞
抗凝固剤の使い方
藤田 良範
1
,
長谷川 武志
1
Yoshinori Fujita
1
,
Takeshi Hasegawa
1
1昭和大学医学部・第3内科
pp.1202-1203
発行日 1984年7月10日
Published Date 1984/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219121
- 有料閲覧
- 文献概要
心筋梗塞は多くの場合,冠状動脈の粥状梗化症を基盤として,これに血栓,出血などが加わり,心筋の壊死を起こすものである.この血栓症の治療,再発作の予防として,①生成されたフィブリンの除去(血栓溶解療法),②フィブリン形成の阻止(抗凝血薬療法),③血小板粘着,凝集阻止(抗血小板剤療法),などの方法がある.
抗凝血薬として本邦で使用されているのは,注射としてヘパリン,経口薬としてワルファリンがある.抗凝血薬療法の効果については意見の分かれるところであるが,黒岩1)は以下のようにまとめている.①急性期死亡率はわずかに低下する.②禁忌のない例で入院中に使用することは有効である.③血栓・塞栓症は有意に減少する.④退院後の長期療法の効果についてはほとんど認められない(彼らの自験例では,1年以内の死亡率はわずかに減少するとしている).
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.