今月の主題 酸塩基平衡の異常
臨床での酸塩基平衡異常
腎不全—とくに尿毒症性アシドーシス
若林 靖久
1
,
丸茂 文昭
1
Yasuhisa Wakabayashi
1
,
Fumiaki Marumo
1
1北里大学医学部・内科
pp.842-843
発行日 1984年5月10日
Published Date 1984/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219033
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臨床上腎不全患者の酸塩基平衡異常としてみられるのは,主に尿毒症性(腎性)アシドーシスであろう.蛋白質,とくに硫酸基を含むアミノ酸・核酸代謝などにより日々生成される酸は,成人で1.0〜1.5mEq/kg,小児では2mEq/kgである.この生成量と等量の酸を腎,肺から排泄できなくなったときアシドーシスが起こる.腎機能障害によるものは,いうまでもなく代謝性アシドーシスである.慢性腎不全患者では,一般に糸球体濾過量(GFR)が,内因性クレアチニンクリアランスとして20〜30ml/min以下,あるいは血清尿素窒素(BUN)40mg/dl,クレアチニン4mg/dl以上になるまでは酸塩基平衡は比較的よく保たれている.このレベルを越えるようになるとアシドーシスが徐々に進行する.
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