増刊号 診断基準とその使い方
IX.腎・尿路
13.呼吸性アシドーシス,アルカローシス
飯野 靖彦
1
,
丸茂 文昭
1
1東京医科歯科大学・第2内科
pp.2148-2149
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222032
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■疾患概念
呼吸性アシドーシスとは,PaCO2が増加し,血液のH+増加あるいはpH減少(アシデーミア)を生ずる病態である.また,逆に呼吸性アルカローシスとは,PaCO2が減少し,血液のH+減少あるいはpH増加(アルカレーミア)を生ずる病態である.前項の代謝性変化と異なることは,原因が呼吸器(肺)にあることである.
呼吸性アシドーシス,呼吸性アルカローシスでは,基本的変化として表1に示すようなPaCO2の増加あるいは減少があり,これに反応して腎での代償が生じ,HCO3-の増加あるいは減少を生ずる.ただし,代謝性変化による呼吸性代償とは異なり,呼吸性変化による腎での代償には数日を要する.つまり,急性と慢性の呼吸性酸塩基障害では,その代償の程度が異なる.急性変化においては,呼吸性アシドーシスあるいは呼吸性アルカローシスも,ともにPaCO2の変化に対し0.75の〔H〕変化を生ずる.これは体内での炭酸-重炭酸系緩衝系以外の緩衝作用(骨,赤血球,蛋白)によるものである.慢性になると腎でのHCO3-産生が代償作用として変化し,表1に示したHCO3-の変化が生ずる.
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