今月の主題 酸塩基平衡の異常
臨床での酸塩基平衡異常
消化器疾患
和田 信昭
1
Nobuaki Wada
1
1帝京大学医学部・第2外科
pp.840-841
発行日 1984年5月10日
Published Date 1984/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219032
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消化器疾患における酸塩基平衡異常は,概して消化液の喪失によるもので,一般に胃液喪失が主であればアルカローシスを,腸液喪失が主であればアシドーシスを生じる.そしてその際には,細胞外液量の減少とカリウム喪失を伴っているのが通例である.嘔吐や下痢は日常しばしば遭遇する事態であるが,それによって酸塩基平衡異常が生じるか否かは,主に消化液喪失の速度と量とにより左右されると同時に,腎・肺機能や,併存する病態(糖尿病,敗血症,ショックなど),またすでに行われた治療(輸液,利尿剤など)の影響を受ける.臨床上問題となるのは後者を伴う場合のほうが多く,総合的評価が重要である.
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