今月の主題 酸塩基平衡の異常
臨床での酸塩基平衡異常
小児
飯高 喜久雄
1
Kikuo Iitaka
1
1北里大学医学部・小児科
pp.838-839
発行日 1984年5月10日
Published Date 1984/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219031
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小児にみられる酸塩基平衡の異常も,呼吸性および代謝性の因子による複雑な影響を受け,さらにその変化に対する生体の代償作用が働き,多彩な病態が起きてくる.多くの場合一方の因子のみの障害より,その両方に障害を認める場合が多い.呼吸性および代謝性のアシドーシスやアルカローシスのみられる疾患を表にまとめてみた.
年齢別に疾患をみてみると,新生児期にはIRDSによる呼吸性アシドーシスや副腎過形成の食塩喪失型,先天性代謝異常(とくに有機酸の代謝異常),anoxiaによる乳酸アシドーシスなどによる代謝性アシドーシスがみられ,生後2〜3週間ごろよりみられるものに先天性肥厚性幽門狭窄症がある.乳児期には下痢による代謝性アシドーシスが最も多く,尿細管性アシドーシスもこの時期に発見されることが多い.幼児や年長児になると,糖尿病のケトアシドーシスやアセトン血性嘔吐症のケトーシスなどの頻度が増加し,このほかサリチル酸中毒による代謝性アシドーシスや利尿剤の投与によるカリウム欠乏のための代謝性アルカローシスがみられるようになる.これらの疾患のうち,新生児,腎不全,糖尿病性ケトアシドーシスは各項で述べられるので,ここでは乳児下痢症,アセトン血性嘔吐症,サリチル酸中毒,先天性肥厚性幽門狭窄症など,小児における代表的疾患について述べることとする.
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