症例
成人後に肥満,高血圧と軽度の腎機能障害を認めた10歳時発症の膜性増殖性糸球体腎炎Ⅰ型の男性
本山 治
1
,
飯高 喜久雄
2
MOTOYAMA Osamu
1
,
IITAKA Kikuo
2
1東邦大学医療センター佐倉病院小児科
2青葉台腎クリニック
pp.1639-1642
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000409
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はじめに
膜性増殖性糸球体腎炎(membranoproliferative glomerulonephritis:MPGN)は低補体血症と糸球体メサンギウムの増加,係蹄壁の肥厚と基底膜の二重化,C3沈着という病理所見を特徴とし,Ⅰ型は糸球体基底膜内皮下に高電子密度沈着物(electron dense deposit:EDD)を認める。発症後10年で約半数が末期腎不全に陥る予後不良な腎炎だが,学校検尿による早期発見とステロイド治療によって予後は改善している1,2)。小児期にMPGNⅠ型と診断され,ステロイド治療により臨床的・組織学的に寛解していたが,成人後に肥満と高血圧に伴い,軽度の腎機能障害を生じた男性を経験した。MPGN再発の徴候は認めず,体重の減量と降圧薬治療によって8年間腎機能障害の進行はない。小児期発症の慢性腎臓病の長期予後において生活習慣病の管理が重要と考えられた。
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