特集 慢性透析者の自立に向けて
血液浄化治療の現状と展望
酒井 糾
1
,
熊野 和雄
1
,
飯高 喜久雄
1
,
高良 聰子
1
1北里大学病院腎センター
pp.387-391
発行日 1985年4月1日
Published Date 1985/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921050
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はじめに
血液浄化治療は今や末期腎不全の治療として定着し,その進歩も実に目覚ましいものがある.すなわち,使用する血液浄化器の膜の開発,浄化技術の進歩,透析液の改良,治療薬剤の進歩,そして栄養状態の改善などを例として挙げることができる.しかし,進歩したとはいっても不確定要素は多く,しかも治療自体の持つ宿命とでもいうべき非生理性が生体にもたらす影響は依然として大きい.
ここ数年,このように変化の激しかった血液浄化の技術領域に,また1つの新しい動きがみられはじめている.CAPD(Continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis;持続的携帯型腹膜透析)がそれである.原理は今までの腹膜透析と変わりないが,ソフトバッグを用いて四六時中,液を腹水として貯溜させ,適宜(4-8時間毎,1日3-6回)バッグ交換して血液を浄化する方法である.1982年10月以降,当院の患者数は23名にふくれ,今やCAPDシステムの北里方式は完全に定着した.今後の展開が期待されている.
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