今月の主題 気管支喘息—病態から治療まで
発症機序
自律神経支配と気道過敏性
無江 季次
1
Suetsugu Mue
1
1東北大学医学部・第1内科
pp.578-582
発行日 1984年4月10日
Published Date 1984/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218975
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気管支喘息の特徴的な病態生理の1つは気道の過敏性であり,この過敏状態は気管支平滑筋を収縮させる物質が過剰であるため(過刺激説hyperstimulation)とも,また平滑筋それ自体の反応性が亢進している(過反応説hyperresponsiveness)とも考えられる.この両説と副交感神経との関係を考えると,喘息患者は微量のアセチルコリンによって発作が起こるので,副交感神経の緊張状態,あるいはコリン受容器の反応性亢進が原因とも考えられ,過反応説の1つといえる.一方,健康者に多量のメサコリンを吸入させると気管支平滑筋の収縮が起こり,喘息患者の気管支平滑筋の周囲にコリンエステラーゼ活性が濃厚に確認できるということは,アセチルコリンなどの収縮物質が多量に産生されるメカニズム,すなわち過刺激説が成り立つ.
IgEや肥満細胞の研究がさかんになるにつれ,過刺激説がやや優勢の感があるが,この間にもSzentivanyiの"β-blockade theory"とそれにつづくreceptor assayの研究,Nadelらの"irritant receptor説"などは,気道の過敏性のメカニズムに自律神経が密接に関与することを強調している.
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