今月の主題 胃・十二指腸潰瘍—その基礎と臨床のすべて
胃・十二指腸潰瘍の治療
胃・十二指腸潰瘍の合併症とその対策
渡辺 豊
1
Yutaka Watanabe
1
1東京慈恵医科大学・第2外科
pp.2750-2751
発行日 1983年12月10日
Published Date 1983/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218817
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胃・十二指腸潰瘍は消化器疾患のうちでは重要な疾患の一つに数えられている.これは胃癌との鑑別がむずかしいということだけでなく,これを放置しておくと重大な結果に陥りかねないからである.普通潰瘍は強い上腹部痛を起こすが,潰瘍だけでは全身的な影響はもたらさない.全身的に強い影響を及ぼすのは潰瘍に発生する合併症である.すなわち,臨床的に胃・十二指腸潰瘍が重要視されるのは出血,穿孔および狭窄などの合併症と直結しているからである.これらの合併症は潰瘍に併発するというよりは,むしろ潰瘍症として一括してしまったほうが妥当であろう.また胃・十二指腸潰瘍には胃切除術や迷走神経切離術などが行われるが,これらの手術に合併する疾患のうち,他臓器損傷や縫合不全などの手術一般に共通したものを除いた,潰瘍手術に特有なものも,広い意味で胃・十二指腸潰瘍の合併症として考えておいたほうがいいと思われる.
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