臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
IX.代謝・栄養障害
糖尿病合併症の治療
193.ケトアシドーシス
梶沼 宏
1
Hiroshi Kajinuma
1
1朝日生命成人病研究所・内分泌代謝科
pp.2524-2525
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218734
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症例
30歳男性(78-0213),会社経営.
29歳糖尿病発症,Lente insulin 26Uを注射してきたが,感冒と過労からコントロールを乱して入院.朝 Lente insulin 40UとActrapid insulin 10U,夕 Lente insulin 10Uを注射したが,第8病日夜心窩部痛と悪心を訴え,嘔吐した.翌日の早朝空腹時血糖352mg/dl,尿アセトン体(+++),動脈血pH7.165,Paco231.0mmHg,CO2含量11.6mM/L,Base Excess-16.7mEq/L,K5.2mEq/L.糖尿病性ケトアシドーシスと診断して輸液および少量インスリン持続注入療法を開始した(図).血糖が200mg/dlに近づいたところで生理食塩水からSolita T3に代え,インスリンの持続注入を中止し,皮下注射に切り替えた.この6時間に使用したインスリン総量は36U,輸液量は3,000mlであった.Ht,電解質などはいずれも改善し,動脈血pHも翌朝は7.380となった.治療開始前高値を示した血中グルカゴン(IRG),cAMP,成長ホルモン(HGH)などは治療によりいずれも正常化した.舌も湿潤し,皮膚の乾燥もとれ,脱水状態から回復した段階で撮影した胸部X線写真で肺結核が発見された.この間の事情についてはすでに紹介した1).
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