特集 酸塩基平衡異常―基本と管理
各論 代謝性アシドーシスの病態と治療
糖尿病性ケトアシドーシス
高谷 具純
1
TAKATANI Tomozumi
1
1千葉大学大学院医学研究院小児病態学
pp.1085-1089
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001758
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糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の病態
糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis:DKA)は,糖尿病の新規発症時,インスリンで管理されている糖尿病患者(とくに1型糖尿病)がインスリンを中断してしまったとき,管理中の患者が感染症などに罹患してシックデイとなったときにインスリン管理が不適切であった場合に発症することが多い。また,インスリンポンプを使用している1型糖尿病患者において,ポンプトラブルによるインスリン注入の遮断が一定時間続いてしまったためDKAを発症することもある。絶対的または相対的なインスリン欠乏と,ストレス時に分泌されてインスリンと拮抗する作用をもつカテコラミン,副腎皮質ホルモン,成長ホルモンなどの上昇により,肝臓と腎臓によるグリコーゲン分解と糖新生,末梢でのグルコース利用障害を伴う異化の亢進が起こる。その結果,高血糖と高浸透圧血症が生じる。さらにインスリン欠乏とストレスホルモンの増加は,脂肪分解とケトン生成を増加させて,ケトン血症と代謝性アシドーシスをひき起こす1~3)。
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