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症例 52歳 女性
両親とも糖尿病で内服治療中.おじ2人も糖尿病.3,4年前に健診で糖尿病を指摘.SU薬とα-グルコシダーゼ阻害薬を1年内服後,自己中断していた.以後,徐々に体重減少あり.1カ月前の健診で「生命に関わる高血糖」のため早期の受診を強く勧められたが放置.2日前より食欲低下,嘔吐出現したため当院受診.
初診時意識清明.身長154cm,体重38kg,血圧108/66mmHg,脈拍112/分,整.Kussmaulの大呼吸あり.採血で随時血糖670mg/dL,HbA1c 15.6%.動脈血ガス分析でpH 6.936,HCO3 5.6mmol/L,B.E. -25.2mmol/L.尿糖,尿ケトン体強陽性のため,糖尿病ケトアシドーシスとして即日入院.血清Na 124mEq/L,K 5.0mEq/L.CRP 0.1mg/dL,WBC 17,800/μL.
処置室で生理食塩水の補液を開始.はじめの1Lは全開で,以後100mL/時で滴下.3.5時間後,簡易血糖488mg/dLに低下.側管よりレギュラーインスリン(以下R)を4単位静注後,100倍溶液を微量輸液ポンプを用いて0.5単位/時で持続点滴静注開始.5.5時間後,簡易血糖395mg/dLと血糖値の低下が緩やかなため,Rを0.7単位/時に増量.9.5時間後に簡易血糖257mg/dL,血清K 4.5mEq/Lに低下したため,生理食塩水500mLに1M-KClの10mLを混注,80mL/時に減量.14.5時間後,簡易血糖167mg/dLに低下.ブドウ糖2.7%含有3号輸液に変更し,Rを0.9単位/時に増量.22.5時間後,血糖222mg/dL,K 3.9mEq/L.補液交換時に微量輸液ポンプから3号輸液内への混注(R 8単位)に変更.併せて1M-KClの10mLも混注した.第3病日夕より経口摂取開始.
全身状態改善後の精査で,24時間尿中C-ペプチド12.0μg/日,血清C-ペプチドグルカゴン負荷前0.1→6分値0.3ng/mL.抗GAD抗体,抗IA-2抗体,ICAいずれも陰性.単純網膜症あり,腎症1期,末梢神経障害なしであった.インスリン強化療法1日39単位で血糖コントロール良好となり,糖尿病教室終了後に退院となった.以後,外来通院中.
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