臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
VII.腎疾患
新しい治療法,新しい薬剤
145.CAPDの効果と今後の問題
川口 良人
1
Yoshindo Kawaguchi
1
1慈恵会医科大学・第2内科
pp.2410-2411
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218686
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症例
44歳の男子事務員.慢性腎炎による腎不全のため,昭和52年血液透析導入.2カ月後より家庭透析開始.以後順調な社会復帰を果たしていた.昭和53年飲水過剰による心不全,昭和55年肋骨骨折を合併する.週3回は帰宅後,透析実施のため就寝は午前1時を過ぎることが多く,透析介助者である妻の心理的負担も多くなり,患者自身も妻も家庭血液透析からの離脱を希望するようになった.患者自身は社会的地位も責任ある立場に置かれるに従って時間外の勤務も多くなり,施設での透析は考えられない状況であった.昭和57年2月よりCAPD(1.5%dextrose含有透析液2l,1日4回交換のスケジュール)に変更した.
本症例ではCAPD選択の理由はmedicalな面よりもsocialな,psychologicalな面が大きく作用している.以後順調にCAPDを行っており,最近の検査所見は血圧130/90mmHg,CTR 46%,Ht 34%,Hb 11.6g/dl,K 3.0mEq/l,Ca 4.4mEq/l,Pi 5.7mg/dl,BUN 73mg/dl,creatinine 13.4mg/dl,UA 8.5mg/dl,TP 7.7g/dl,transferrin 275mg/dl,PTH(C末端)22ng/ml,薬剤は1αOHDのみの投与である.
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