臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
VI.肝・胆道・膵疾患
問題となるケースの治療
123.HBウイルス母児感染の予防
矢野 右人
1,2
Michitami Yano
1,2
1国立長崎中央病院・消化器科
2長崎大学熱帯医学研究所
pp.2362-2363
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218664
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HBウイルスの母児感染
世界で2億人以上の,わが国では約300万人のHBウイルス持続保持者(キャリアー)が存在すると推定される.成人後のHBウイルス感染は一過性感染—急性肝炎—として経過し,これらキャリアーの感染は幼小児期のHBウイルス感染により成立する.そのうち感染時期が解明されているのはHBs抗原,e抗原,両者陽性の母より出産する際に感染する母児感染のみである.母がe抗原陽性のキャリアーの場合,出産してくる児の85%以上が生後3カ月目までにキャリアーに移行する.キャリアーが成立した場合,10%以上の人達が発症し,慢性肝炎,肝硬変,肝細胞癌へと進展の可能性を有する.この感染は宿命的であり,予防対策が切実に望まれている.
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