今月の主題 ウイルス肝炎のトピックス
ウイルス肝炎の予防
B型肝炎ウイルスの母児感染遮断
矢野 右人
1,2
Michitami YANO
1,2
1国立長崎中央病院・消化器科
2長崎大学熱帯医学研究所・防疫部門
pp.1548-1549
発行日 1981年9月10日
Published Date 1981/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217322
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B型肝炎ウイルス(HBV)の感染が成立すると急性肝炎として発症するが,劇症肝炎を除き成人では予後良好で,慢性肝炎あるいはHBV持続保持者(HBV carrier state)に移行する例は原則的になく,約2ヵ月で完治する.一方,わが国には約300万人と推定されるHBV carrier stateが存在し,その由来は幼小児期でいまだ免疫能が完成していない時期のHBV感染によることが次第に判明してきた.これらのHBV carrier stateの時期,実体が明確にされているのは母児感染についてのみである.感染源,そして感染の時期が明確にされている母児感染は,生まれてくる児の方向が運命づけられることでもあり,その予防対策は緊急かつ重大な課題となってきた.ここでは自験例を中心に,HBV母児感染の予防対策について述べる.
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