Modern Therapy HBウイルスの母児感染をめぐって
HBウイルスの母児感染をめぐる諸問題
森塚 威次郞
1
,
関口 博史
2
Takejiro Morizuka
1
,
Hiroshi Sekiguch
2
1国立仙台病院産婦人科
2国立仙台病院産小児科
pp.264-272
発行日 1980年4月10日
Published Date 1980/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206224
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われわれは,約8年前にHBs抗原が,いまだオーストラリア抗原(Au抗原)と呼ばれていた時代からHBウイルスの母児間感染の研究をつづけ,その都度,まとめて発表1〜4)してきたが,ここで再びこれらB型肝炎の垂直伝播についてさらに詳細な解析を加えることは,今後,垂直伝播の機作(仕組み)の解明と遮断の方法を模索する上に重要である。われわれは,一つ一つの症例を大事にして今日まで,1) HBe抗原陽性の母親では肝炎ウイルスが増殖しており児への伝播が起こる。2)伝播の起こった児ではHBs抗原の証明の時期と呼応してHBe抗原を証明すること,すなわちsilent,inapparentでも,これらの児ではウイルス増殖の始まっていることを明らかにしてきた。今回は,現在までの研究の成果の一部を報告し,その中から母児感染をめぐる新たな2,3の問題点につき解析を加えてみたい。
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