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難治性腹水に対する腹水ECUM
堀口 孝泰
1
1公立小浜病院内科
pp.200
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904044
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肝硬変・うつ血性心不全・ネフローゼ・癌性腹膜炎の腹水や透析腹水のコントロールに際して,直接排液・廃棄すると低蛋白血症や低栄養などの副作用をきたす.また,腹水濃縮再静注法はendotoxinを代表とする種々のpyrogenによる発熱などの問題が生じる.筆者らは,腹水を血液透析装置を用いて濃縮した上で直接腹腔内へ戻す方法を用いて十数例に良好な成績を得ている.体外循環は無ヘパリンでも可能であるが,フィブリンの析出が多いため回路や穿刺針の閉塞により治療を中断しなくてはならないことが多いので,今までは返血回路側に三方活栓を付け,析出するフィブリンを注射器にて排出し,穿刺針の閉塞を防止していた.しかし,常に監視が必要であり,廃棄するフィブリンを含む腹水量も少なくないために低蛋白血症をきたす危険があった.そこで,透析回路のチャンバーのメッシュを粗にすることで,回路閉塞をきたすような大きなフィブリン塊の析出は全く認めなくなり,簡便に腹水のコントロールが得られるようになった.腹水は含有蛋白濃度が高くなりreboundが生じると考えられるが,自験例では1例もreboundは認められなかった.
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