今月の主題 臨床医のための神経内科学
鑑別診断のポイント
痴呆
黒岩 義之
1
,
東儀 英夫
1
Yoshiyuki Kuroiwa
1
,
Hideo Tohgi
1
1岩手医科大学・神経内科
pp.1282-1283
発行日 1983年8月10日
Published Date 1983/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218376
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一度発達をとげた知能が障害され,その障害が一過性でなく持続性である場合にこれを痴呆と呼ぶ.具体的には言語機能,記憶力,視空間認知,感情,人格,抽象能力,計算能力などが障害をうける1).痴呆患者をみたときに重要なことは,①家族から詳細な病歴を聞くこと,②慎重に内科的診察と神経学的診察を行うこと,③痴呆が治療可能な原因によるものではないか考察すること,④必要な臨床検査を実施すること(表1),⑤治療可能な原因が発見された場合に治療を速やかに始めることである.痴呆は意識障害や錯乱状態とは区別されるべきであるが,痴呆と一過性の軽い意識障害や精神機能低下と区別しがたい知能障害を呈する疾患(たとえば代謝性脳症)をも以下の記述に含めることにする.
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