Japanese
English
特集 老人痴呆とリハビリテーション
老年期痴呆に関する最近の知見
Recent Advance in Dementia of the Aged.
阿部 隆志
1
,
東儀 英夫
1
Takashi Abe
1
,
Hideo Tohgi
1
1岩手医科大学神経内科
1Department of Neurology, Iwate University School of Medicine, Morioka.
キーワード:
老人期痴呆の診断
,
痴呆の病理
,
神経伝達物質
Keyword:
老人期痴呆の診断
,
痴呆の病理
,
神経伝達物質
pp.251-258
発行日 1985年4月10日
Published Date 1985/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105357
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はじめに
近年,わが国は平均寿命の延長と出生率の低下などによって老年人口は年々増加し,急速な勢いで高齢化社会を迎えつつある.それにともない老年痴呆(senile dementia)と脳血管性痴呆(cerebrovascular dementia)に代表される老年期痴呆患者の増加が深刻な社会問題となってきた.長谷川らの調査によると65歳以上人口の4~5%にみられ,全国では約50万人の痴呆老人が推定されている1).
痴呆に関してこれまで数多くの研究がなされているが,そのメカニズムと治療に関し,現在,われわれの持っている知識は極めて限られている.しかし,ごく最近,老年痴呆におけるコリン作動性ニューロンの重要性やMeynert核を中心とする病理学的所見が明らかにされるに及んで,難問解決への糸口が発見された感がある.
本稿では,老年期痴呆の定義,診断,Alzheimer型老年痴呆の病理および神経伝達物質について,最近の知見を概説する.
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