今月の主題 脳循環の基礎と臨床
脳循環障害の臨床
多発梗塞性痴呆
尾野 精一
1
,
東儀 英夫
1
Seiitsu ONO
1
,
Hideo TOGI
1
1東京都養育院附属病院・神経内科
pp.1740-1741
発行日 1981年10月10日
Published Date 1981/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217365
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多発梗塞性痴呆(multi-infarct dementia,以下MIDと略す)は,老年痴呆(senile dementia)とならんで,老年期に痴呆を呈する疾患のなかで,わが国では頻度の高いものである.MIDとは,Hachinski(1974)により提唱された用語で,痴呆の発現にとって重要なのは,脳の動脈硬化よりもむしろ,これに合併することの多い多発性の小さな脳梗塞であるという最近の知見をふまえた表現で,従来の概念でいえば,脳動脈硬化性痴呆あるいは脳血管性痴呆とほぼ同じ意味と考えてよく,従来使用されていたlacunar dementiaに相当するものである.現在では,脳動脈硬化性痴呆や脳血管性痴呆よりも,MIDという用語が広く用いられるようになりつつある.
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