今月の主題 カルシウム代謝の基礎と臨床
臨床
妊娠とカルシウム代謝
佐藤 和雄
1
Kazuo Satoh
1
1東京大学医学部・産婦人科
pp.1226-1227
発行日 1982年7月10日
Published Date 1982/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217843
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胎児には30〜40gのCaが蓄積されるが,とくに妊娠8カ月以降に急速に進行する.また胎児の骨成長は母体の栄養状態,年齢,経産回数に関係なく進むといわれ,症例報告としては先天性骨軟化症や先天性クル病の例がみられるが,非常にめずらしいとされている.このように妊娠時のCa代謝は母体側よりみれば非常に多量のCa消費が起こるわけで,このような一種のcatabolismの状態をhomeostaticに維持するための変化が起こるであろうし,胎児側では著明なCaのanabolismがautonomousともいえる状態で進むため,それに必要なCa吸収が経胎盤的に母体の状態に関係なく積極的に行われる1,2).本稿ではこのような変化の特徴の一部を述べる.
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