今月の主題 腎疾患のトピックス
腎不全の問題点
腎不全とカルシウム代謝
大畑 雅洋
1
,
藤田 拓男
2
1東大・老年病学
2東大老年病学教室
pp.1134-1135
発行日 1974年9月10日
Published Date 1974/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205562
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ヒトでカルシウム恒常性を保つ主要なものは副甲状腺ホルモン(以下PTHと略称),ビタミンD(V. Dと略称),およびカルチトニンであるが,腎不全のカルシウム代謝異常で主役を演じるのは,PTHとV. Dの2つである.裏返していえば,腎はPTHの重要な標的器官であり,またV. Dの最終活性代謝産物の産生器官であるので,てのことがとりもなおさず腎実質障害時のカルシウム代謝と深く関係することになる.そうしてこのカルシウム代謝異常による主たる臨床発現は骨のジストロフィー(osteodystrophy)であるといえよう.人工透析法の進歩により,腎不全患者の長期生存が可能となるにつれ,カルシウム代謝異常の問題は一層重要性を増し,解決をせまられている.一方,こて数年でV. Dの代謝経路の解明に大きな飛躍がみられて,腎不全のときの異常なカルシウム代謝のある部分を是正するのに合成V. D誘導体が用いられる日は遠くないであろう.
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