今月の主題 カルシウム代謝の基礎と臨床
カルシウム代謝とその調節
骨とカルシウム代謝
白木 正孝
1
Masataka Shiraki
1
1東京都養育院付属病院・内分泌科
pp.1184-1185
発行日 1982年7月10日
Published Date 1982/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217826
- 有料閲覧
- 文献概要
カルシウムイオン(Ca++)が,種々の細胞の機能調節の因子として重要な位置を占めていることは既知の事実である.Ca++はまた,ある種のホルモンまたは神経伝達物質の細胞内メッセンジャーとして神経の興奮,筋細胞の収縮,分泌細胞の分泌過程などの制禦にも重要な役割を果たしている.このようなCa++の細胞機能調節に果たす役割の重要性ゆえに,血中Ca++濃度の変動幅はきわめて小さくセットされている.
血中Ca++の恒常性維持のため生体内には大きなCa++プールが存在するが,それは骨に存在するカルシウム塩である.このプールへのCa++の供給とプールからのCa++の放出のバランスが,血中Ca++の恒常性を維持し,このバランスを調整しているものが副甲状腺ホルモン(PTH),カルチトニン(CT)およびビタミンDであると考えられている,本稿では,上記の如く血中Ca++の恒常性維持に重要な役割を果たしている,骨におけるカルシウム代謝につき概説したい.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.