指標
妊娠におけるCa,Pi代謝(その2)
佐藤 和雄
1
,
福岡 秀興
1
,
坂元 正一
1
Kazuo Satoh
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.805-813
発行日 1980年11月10日
Published Date 1980/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206334
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Ⅲ.妊娠中のCa,Pi代謝動態22,23)
胎児には30〜40gのCaが蓄積されるが,これは母体の3.0%前後にすぎない。児体重と児のCa量とは相関性が高く,妊娠8カ月以降急速に胎児に蓄積される。また母体の栄養状態,年齢,経産回数,摂取Ca量にはまったく影響されることなく児の骨成長は進行する。ただ文献的には,先天性骨軟化症,先天性クル病児の例が散見されるが,これらは母体にCa,ビタミンDの極端に不足した状態にあった例かと想像される。
以前より妊娠・産褥での母体総血中Ca量の測定が報告されてきた。妊娠初期より30週前後までは次第に下降し,その後分娩にいたるまでは軽度上昇するというのが通説であった24)。しかしCa44の定量が可能となって,近年再検討が行なわれるようになった。
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