今月の主題 癌治療の最前線
免疫療法
体液性免疫抑制因子の分析
漆崎 一朗
1
Lchiro Urushizaki
1
1札幌医科大学・第4内科
pp.1026-1029
発行日 1982年6月10日
Published Date 1982/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217792
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生体の免疫応答の発現には,機能を異にした免疫担当細胞群,および体液中の免疫反応を抑制あるいは増強する因子などに依存する免疫の調節機構immunoregulationが関与する.癌患者の細胞性免疫能の低下は広く知られているが,その機序にも免疫抑制細胞と体液性の免疫抑制因子が働いているとされている.癌血清中の免疫複合体が免疫抑制的に働き,腫瘍関連抗原のあるものが免疫抑制細胞を誘導し,免疫抑制細胞が抑制作用を有するsoluble mediatorを遊出するなどのことは,体液性の免疫抑制因子が担癌生体の免疫能に重要な意義をもつことを示している.これまでにも血清中の免疫抑制因子については表1に示すように多くの物質が報ぜられたが,その異同性,化学的性状,作用機序および生理的意義について不明な点が少なくない.ここでは癌血清の免疫抑制因子について整理してみたい.
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