今月の主題 癌治療の最前線
免疫療法
癌治療と抗癌免疫能
西條 長宏
1
Nagahiro Saijo
1
1国立がんセンター病院・内科
pp.1030-1033
発行日 1982年6月10日
Published Date 1982/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217793
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臨床における免疫機能測定の目的の1つは,これらが担癌患者の重要なprognostic factor (予後因子)になりうるか否かという点にある.一般的に担癌患者の免疫機能の検討は患者のperformance status,臨床病期,治療効果など既存のprognostic factorとの相関,あるいは直接予後との相関を分析することが大半である.近年あらゆる治療はrandomized control trialによってその効果を判定する必要に迫られてきている.randomizedcontrol trialの場合,層別化の基礎になるのは担癌患者のprognostic factorである.prognostic factorのreliabilityを向上させるには評価方法の客観性が要求される.免疫機能はすべて数値で表現しうるため,きわめて客観的な指標といえる.一方,担癌患者免疫機能は,腫瘍に対するeffector機構解析の手段として検討されつつある.この場合は自己の腫瘍増殖に直接関連性の深い腫瘍免疫機構の一部としての免疫機能であり,本稿ではこれを抗癌免疫能と呼ぶ,臨床レベルにおける免疫療法のほとんどすべては免疫adjuvantを用いた非特異的免疫療法であるが,これらの免疫adjuvant検定には,少なくとも癌細胞に対し障害性に働く免疫反応が確実に作働しているという証明が臨床においても要求される.
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