今月の主題 癌治療の最前線
免疫療法
monoclonal killer T cellと癌治療
藤本 重義
1
Shigeyoshi Fujimoto
1
1高知医科大学・免疫学
pp.1024-1025
発行日 1982年6月10日
Published Date 1982/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217791
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近年,細胞工学の手法の進歩にはめざましいものがあり,免疫学の分野においても免疫学的手法の技術革命として急速に脚光を浴びるようになった.その1つは,単一の特異性と均一な機能を持った単クロン性免疫細胞(monoclonal immunocyte)をin vitroで樹立,維持する手法としての細胞融合法1)(cell fusion)である.これは,免疫細胞(T細胞あるいはB細胞)と腫瘍細胞とを融合させて,免疫細胞が持つ免疫学的機能(抗体産生能やT細胞機能,たとえばヘルパーやサプレッサー機能あるいは細胞障害能など)と腫瘍細胞が持つ持続性の自律性増殖能を兼ね備えた融合細胞(hybridoma)を作ることによって,B細胞あるいはT細胞のハイブリッドクロンを大量に作ることができるようになった.他の1つは,細胞融合法と同様の目的性を持った手法で,免疫細胞(丁細胞あるいはB細胞)をTcell growth factor(TCGF)2)あるいはB cell growth factor(BCGF)を用いることによって,抗原特異的T細胞あるいはB細胞を免疫学的機能を保持したまま正常リンパ球としてin vitroで長期培養することが可能になりつつあるために,それらの細胞を増殖させてクロン化する手法である.
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