今月の主題 血清リポ蛋白の異常
血清リポ蛋白異常症
低HDL血症と低LDL血症
中井 継彦
1
,
笈田 耕治
1
Tsuguhiko Nakai
1
,
Koji Oida
1
1金沢大学医学部・第2内科
pp.810-812
発行日 1982年5月10日
Published Date 1982/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217740
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
従来,動脈硬化症との関連からリポ蛋白代謝異常については主として高リポ蛋白血症が注目され,その病態の解明や治療について多くの研究がなされてきた.しかし近年,HDLの抗動脈硬化作用について,疫学成績や培養細胞を用いた成績が報告され,低HDL血症が動脈硬化症の独立した危険因子であることが確立されつつある.したがって,リポ蛋白代謝異常については高リポ蛋白血症のみならず,低リポ蛋白血症についても注目する必要がある.
血漿リポ蛋白濃度の低下をきたす病因として,リポ蛋白の合成の低下または異化の亢進が考えられる.各病態においてどちらがより重要な役割を果たしているかを常に念頭におき,病態を理解する必要がある.本稿では,HDL,LDLの欠損症,低下症の病態を理解するために,HDL,LDLの合成,異化の面より概説するとともに,低リポ蛋白血症の臨床的意義について考察する.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.