今月の主題 白血病—最新の概念と治療
新しい概念
中枢神経白血病
藤本 孟男
1
Takeo Fujimoto
1
1愛知医科大学・小児科
pp.1882-1884
発行日 1981年11月10日
Published Date 1981/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217397
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治療の新しい進歩は,悪性腫瘍の経過に大きな影響を与える.とくに急性リンパ性白血病(ALL)や悪性リンパ腫などのリンパ系悪性腫瘍の化学療法の進歩は,その予後の著明な改善とともに,疾病の自然歴に大きな変貌をもたらした.その1つは腫瘍細胞の中枢神経系浸潤である.白血病では,この合併症は中枢神経系白血病(CNS-白血病)または白血病細胞の浸潤が髄膜に著明にみられるので髄膜白血病(meningeal leukemia)とよばれる.このCNS-白血病は,これまでも稀とはいえ発症していたが,化学療法の進歩で血液学的寛解が著明に改善し延長されると高頻度になり,長期完全寛解(治癒)を中断する最大の関門になってきた.これは中枢神経系が血液・脳関門のため,抗白血病剤が十分浸透しがたい薬理学的聖域の1つであり,この部位に散布された白血病細胞が増殖・浸潤する時間的余裕が与えられたためである.
CNS-白血病の頻度は,ALLでは1960年以前に4〜25%であったが,1960年後半以後には27〜61%と増加し,AMLでも最近の化学療法の進歩によりALLと同様の経過をとり,12%と増加してきている(表).
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