臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
X.血液・造血器疾患
2.白血病の治療
中枢神経白血病の治療
藤本 孟男
1
1九大小児科
pp.2217-2219
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208312
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はじめに
白血病の近代的治療は,生存期間を著しく延長させた.この延長は,抗白血病剤が浸透しにくい薬理学的聖域に撒布・残存している白血病細胞に,増殖浸潤する時間的余裕を与え,寛解期合併症として,中枢神経白血病(CNS-Lと略)を増加させた.1960年以前では,CNS-Lの頻度は急性リンパ性白血病(ALL)で4〜25%であったが,1960年後半より1970年にかけて27〜61%に増加し,当教室でも1)CNS-L頻度は,1960〜70年では22〜27%であったが,1971〜73年では48%に急増している(表).急性骨髄性白血病(AML)でも12.8%であり,最近の治療の向上に伴う生存期間の延長は,ALLと同様にAMLでもCNS-Lの増加をさせている.
CNS-Lはまずarachnoid表在の血管壁の白血病細胞浸潤にはじまり,さらに血管および血管周囲に浸潤して脳・脊髄に進展し,遂にはpia-glial membraneを破壊して,脳・脊髄の実質に浸潤し破壊していく.
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