今月の主題 白血病—最新の概念と治療
新しい概念
高齢者白血病
勝沼 英宇
1
,
和田 斉
1
,
宮本 佳則
1
,
仙場 教三
1
,
佐貫 稔
1
,
鈴木 千里
1
Hideyo Katsunuma
1
,
Hitoshi Wada
1
,
Yoshinori Miyamoto
1
,
Kyozo Senba
1
,
Minoru Sanuki
1
,
Chisato Suzuki
1
1東京医科大学・老年病学
pp.1885-1887
発行日 1981年11月10日
Published Date 1981/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217398
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近年,日本人の平均寿命は延長し,老年期も65歳から100歳以上にまで広がり,老人像も年代によって少しずつ異なっていることが指摘されている.それゆえ老年期を老化の程度によって区分しようと試みる傾向にある.生理的老化が78歳前後から顕著に出現することから,80歳までを高齢期,80歳以上を超高齢期,そして100歳以上をCenterianと呼称することが提唱されている.よって,本稿は65歳から超高齢者の年代に入るまでの年齢の老人にみられる急性白血病ということに限定して,高齢老白血病の概念を述べる.
加齢とともに臓器の機能が低下するということは,Shockのすぐれたvertical stasticsによって,もはや誰もこれを疑うものはない.すなわち彼らによれば,人の生理機能は30歳をピークとして,以後肺,腎,心の順位に年とともに低下し,60歳には1/3〜1/2に,80歳にはほぼ1/2に低下するという.造血機能もまた同様で,Custerも骨髄における造血機能は60代で1/3に低下すると報告しており,筆者らの教室における研究成績もほぼ同じである.このように加齢に伴って造血機能が低下してゆけば,これを基盤にして発病する血液疾患は,臓器機能が低下していない青壮年者の疾患と病態,治療に対して反応像が異なることは考えられよう.事実,老人の白血病では病型,臨床像,治療などが青壮年と異なっている.
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