今月の主題 ウイルス肝炎のトピックス
慢性B型肝炎の治療
Adenine Arabinoside療法
渡辺 省三
1
,
市田 文弘
2
Shozo WATANABE
1
,
Fumihiro ICIDA
2
1新潟大学医学部・第3内科
2新潟大学医学部・内科
pp.1556-1558
発行日 1981年9月10日
Published Date 1981/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217325
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Adenine arabinoside(9-β-D-arabinofuranosyladenine,ara-A)はin vitroで広範なDNAウイルスおよびある種のRNA腫瘍ウイルスに対して抗ウイルス活性を有する合成purine nucleosideである.その作用機序の詳細については不明な点もあるが,生体内で燐酸化を受け,ara-AMP,ara-ADPを経てara-ATPとなって競合的にDNA合成を阻害すると考えられている.また,ADPがdADPへ変化する反応を触媒するadenosine diphosphate reductaseをも阻害するといわれている.
低濃度のara-Aでは細胞のDNA合成に比してウイルスDNA合成がより選択的に抑制されることが,ヘルペスウイルスを用いた実験成績から得られている.さらにara-Aが個体の液性および細胞性免疫機構のいずれをも抑制することが少ないとの報告もある.これらの知見はara-AがDNAウィルス感染症に対して有用な抗ウイルス剤となることを示している1).
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