今月の主題 ウイルス肝炎のトピックス
慢性B型肝炎の治療
インターフェロン療法
服部 信
1
,
小林 健一
2
,
加藤 康洋
1
,
平井 信行
1
,
田中 敬三
1
,
金井 正信
1
Nobu HATTORI
1
,
Ken-ichi KOBAYASHI
2
,
Yasuhiro KATOH
1
,
Nobuyuki HIRAI
1
,
Keizo TANAKA
1
,
Masanobu KANAI
1
1金沢大学医学部・第1内科
2金沢大学医学部・内科
pp.1554-1555
発行日 1981年9月10日
Published Date 1981/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217324
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- 文献概要
インターフェロンは近年ウイルス疾患,腫瘍,神経疾患,精神病に用いられ,夢の薬といわれている.しかしながら,反面,インターフェロンはファッションのような状態にあるといういい方で浮わついた状態のものであるとしていて,正確な評価は必ずしも定まっていない.GreenbergらMerigan一派により,1976年New England Journal of Medicine誌上に,B型ウィルス肝炎に対する投与成績が発表されるや、従来肝炎ウイルスに直接有効な作用を示すものがなかっただけにその反響はすさまじいものであった.しかしながら,インターフェロンの量産になお隣路のあること,インターフェロン投与による有効例はあるが,持続的に有効な例はきわめて少ないこと,発熱などの副作用のあることなど,あまりにも未解決の点が多い.またB型の慢性肝炎に有効といっても前肝硬変状態になると効なく,またB型肝炎ウイルスと関連の高い肝細胞癌に対しては臨床的にインターフェロンが有効との成績はなお得られていない.劇症肝炎,急性肝炎に関する成績も少ない、1930年代にインターフェロンはその存在が発見されていたにしては,臨床応用の道は意外にあまりにもおそい.インターフェロンは,バラ色に輝いてみえる面と,どうしようもない暗い面と両極端の間を絶えずゆれ動き,正当な評価が今後にまたれる.
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